今日の話題は、綿帽子。
写真は、手作りの綿帽子を、文金高島田の「おしまさん」にかぶってもらったところ。
この綿帽子が、ソロウェディングを自力でやることになった原因の一つでもあることは、「自力でやろうと思った理由」にも書いた。
私は、最近流行りのワイヤーで補強した綿帽子に、どうも違和感を感じる。
美意識に反すると言ってもいいかもしれない。
私にとっては、あれは綿帽子とは呼べないものだ。(個人の意見です)
昔ながらの、ふんわりやわらかい綿帽子じゃなきゃ、綿帽子じゃないのだ。(個人の意見です)
写真を撮るには、シワも出ないし顔もよく見えるから、いまどきの綿帽子の方が好都合なのかもしれない。洋髪でもかぶれるし。フォト婚流行りだから、かんざしがなくても自立する綿帽子は、手軽で便利なのかもしれない。
でもやっぱり、私にとっての綿帽子は、丸くないのだ。
布に浮かんだシワから、向こう側の日本髪やかんざしの形が想像出来なくちゃダメなのだ。
姉さん被りだって、お高祖頭巾だって、中に日本髪が入っているからいいのだ。
そうじゃなくっちゃダメなのだ。
(中略)そんなこんなのこだわりで、自作することにした。
参考にしたのは、前述の記事でも紹介した、名古屋の貸衣装「北徳」の綿帽子だ。
ブログなどに掲載されているお客様写真を見て、全体像を想像し、自分のかつらと見比べながら大きさのあたりをつけ、何度か試作をした。たぶん合ってると思うんだけれど、なにか違うところがあったら教えてほしい。
せっかく苦心して作った寸法なので、もしかしたら誰か役立てたい人がいるかもしれないし、公開したいと思う。
とはいえ和裁も洋裁も学んだことがないし、製図とか出来ないマンなので、チラシで作った型紙を方眼紙に写して座標をとった。(単位はcm)
※この綿帽子は、大きくしっかり結ったかつら(日本髪)に、花嫁用のかんざしを挿したうえで装用するものです。それらがないと形になりません。ワイヤーで補強する前提で作られた、丸い綿帽子とは違うものですから気をつけて下さい。
ノートの落書きレベルの画像で申し訳ない。
技術さえあったらプリントして使えるPDFとか作りたいんだけど、ちょっと今まともなPC環境を作っていなくて、無理だった。ごめんな役立たずで……。
できあがり寸法はだいたい縦が57cm、横が98cm。
直線のところが中心線なので、わにして作ってほしい。
途中に引いてある横線が、前身頃(って帽子の場合も言うのかな)のできあがり線なので、型紙は折り返して共通で使える。
←作ったやつ 買ったやつ→
かぶるときに、ちょっと後ろにずっこけさせる(方言かなあ)ので、後ろはあまり長くせずに作った。もしかしたら同じ長さにしても良かったのかもしれない。どうなんだろう。
北徳の綿帽子は、後ろ姿の写真が探せなかったんだけれど、もうちょっと長い気がした。
作り方を、こんどは詳しく説明しようと思って、途中経過の写真を撮ろうと思ったんだけれど、印付けも裁ち方も縫い目もあまりにお粗末すぎてとても見せられない有様だったので、諦めた。簡単に手順だけ書いておく。
・印付けをして裁断する。このとき、縫い代は多めにしておき、縫い合わせてから1cmくらいに切り落とす。
・表地を中表に合わせ、上辺の丸いところを縫う。縫い代は割る。
・前と後ろのそれぞれに、裏地を中表に合わせ、下辺を縫う。
(表地を縫い合わせるよりこっちが先のような気もする)
・表に返してアイロンをかける。まだ縫っていない裏地の上辺は、引いた線より2mm内側をアイロンで折る。
・折った裏地の上辺を、表にひびかないよう、縫い代部分のみに縫い付ける
・全体にアイロンをかけ、前身頃の中心にアイロンで折り線をつける
使った布は、
「ポリエステル羽二重 アルフォンシーヌ54」のオフホワイト。
このショップで買った。
表地も裏地もこれを使った。
裏地用の生地だが、表地にこれ以上しっかりした布を選ぶと、ポリエステルなので、張りが出てふんわりしない恐れがあると思った。
思った以上に透けないし、質感も高級感があって、それは良かったんだけれども、表も裏もこれだと、するする滑るし薄いしで、めちゃくちゃ縫いにくかった……。
縫製は手縫い。鬼のようにまち針をうった。カーブなんかもう2センチ刻みくらい。手持ちのまち針を全部使った。
それなのにズレる。
途中何度も、素材選び失敗したなと感じたが、出来上がってのふんわり感は狙い通りだった。撮ろうとするとカメラのディスプレイにモアレが出るんだけど、写りはどうかな……分からないくらいかもしれない。
焦らしていた全体像がこちら
(写り込む背景の生活感が隠しきれなくなってきた)
これが私の言う綿帽子! 綿帽子です!!!!
ひょっとして人間がかぶるとまた様子が変わるかもしれないから、その場合は修正するかもしれない。
とにかくこれで、身につけるものは全部そろった。
「懐剣がないじゃないか」と思った方がいたとしたら、なかなか鋭い。(というか、全部読んで下さってありがとう)
今回、私は懐剣を省略することにした。
理由は、あるブログ記事を読んで、それもそうだなと思ったから。
八千代ウェディングという、和の結婚式(和婚)のプロデュースをしている会社のブログ、「やちよごのみ」を読んでいて、こんな記事を見つけた。
なるほどそうだなあと思った。
私は体格が小さくなで肩で、胸元にあんまりスペースがない(ものは言いよう)ので、懐剣まで入れるのは無理だなあと思ったのもある。なるべくすっきりさせたくて、無しでいくことにした。
筥迫を作ったのは、筥迫が、というか、筥迫の上に飾るびらびらかんざしが好きだから。
「筥迫を手作りする」の時にも書いたんだけれど、「花嫁衣装に使われる小物には伝統があって…」みたいな説明が、私はあんまり好きじゃない。「誰かが作った宣伝文句でしょ」みたいなうさんくささを感じてしまう。
それを聞いて、「へえそうなんですか~」と疑いもせず、花嫁セットの小物はどれも絶対に無くてはならない伝統のものだと信じてしまうほうも、浅はかというか、頭が固いぞっていうか、私はだまされないからな! という感じ。
白無垢が白いのもさあ、「白だったら染め変えがきくから」だと思うんだよね。
花嫁は一度死んで嫁に行くとか、この世の存在じゃないとか、いろいろ言われているし、お色直しをして婚家の色に染まるとか、どれも一理あるなーそうなんだろうなーとは思うんだけれど、後付けっぽさも感じてしまう。決めごとってだいたい実用の上に成り立っているもので、「白にしておけばその後の使い道がある」という実用的な理由もあるんじゃないかと私は思う。染めの分まで生地に回せば、それだけ良い物が買えるのだし。
なんたって布は、古くは通貨だ。
「一生一度の品だからこそ白のままにする」みたいな美学もあるだろう。白い分だけごまかしもきかない。
嫁入りのための衣装だから、最高の布、最高の白を選ぶのであって、純潔の象徴とかではないんじゃないかと……
……何の話だったんだっけ。
衣装はみんな揃ったので、いつでも撮影出来る状態なのだが、着付けと撮影を頼んだ母と姉や、場所を提供してくれる祖母の都合なんかもあるので、現在は日程の調整中だ。
白無垢に似合うメイクの話とか、着物と打掛の丈の話とか、制作中の大道具の話とか、そんな話題もあるので、それまでぼちぼち更新していきたい。
おまけ。
花嫁かんざしを全部さしたおしまさん。
「おしまさん綺麗ねえ」って、思わず口に出して褒めた。
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by tazutahara
| 2017-02-03 23:16
| セルフ和装ソロウェディング